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ナイスな椅子、無イッスか?

編集部のKenです。
いま、探している椅子があります。
「これ」という個体があるわけではありませんが、とにかく探しています。

私の家には、とっても家族に愛されている椅子があります。
傷だらけの木肌、濃い茶色が塗装され、座面には濃いグリーンのレザーが張られた、木製の折り畳み椅子。
ひっくり返すと、傷つくたびに修理・塗装を繰り返されたであろう厚い塗膜の向こうに筆文字で「東京競馬場・食堂」と書かれている。
競馬は全くやらないので「競馬場」の文字には何の感情も湧かないが、東京競馬場は昭和43年に大きな改修工事があったらしく、恐らくそのタイミングで売りに出されたものなんじゃないかと思います。
そうかい、この白髪交じりのヒゲオヤジ(私です)よりも年上なのかい。頑張って生きてきたんだなぁと思うと可愛くて仕方がないんです。

ぜひ、この椅子に、この娘に、お婿さんを迎えてあげたいんです。
木製の折り畳みでペアにしたいんです。

ある雨の日、住宅街に紛れるように、看板も出していない骨董家具屋さんが目に入り、なんともまぁ良い具合にヨレた、存在感のある木製折り畳み椅子を目撃しました。
これはお婿候補に良かんべと車を止め、「ここ、お店ですか?」と恐る恐る店内へ。
おお、なんとも色気のある風合い。前の所有者が自分で手入れしたのであろう、塗料がダマになったようなシミも含め、男前だった。

でも、座ってみると、ガタピシ鳴るわ傾いてるわで、椅子としての機能は果たせないようだった。
「状態の良いのは売れちゃったんですよね、つい最近です。あんまり良くないのだけ残っちゃってて。」
修理も可能だが、機構の重要な箇所にガタがきてるので大がかりな物になるという。
店員さんも残念がってくれたが、オブジェを探しているのではない。諦めることにした。
ああ、わが家の椅子よ、父ちゃん、見合い相手を連れて帰れなんだ。・・・許せ。

というわけで、まだまだ婿探しの日々は続くのであります。

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