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Vol.2:渋谷直角さん

リプラン妄想住宅

妄想住宅とは

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渋谷直角さん

1975年生まれ、東京都出身。ライター、漫画家、コラムニストとして多方面で活躍中。雑誌『食べようび』『EYESCREAM』『SPA!』などで執筆するかたわら、WEB連載や単行本の執筆など、精力的にこなし、数多くの作品を世に送り出している。マンガ『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』が2013年7月に発売され、爆発的な売れ行きを見せている。

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渋谷直角さん「妄想住宅」と理想の暮らし

ライター、漫画家、コラムニストと幅広く活躍されている渋谷直角さん。「妄想」はお得意分野かな?と勝手な思い込みで、イラストをお願いしてみました。

直角さんの「住みたい家」はどんな想定でしょうか?

僕が60代になった時の理想の暮らしです。僕は「博士」と呼ばれる人になっていて、まったく役に立たない、お金にならない研究をしながら、家からほとんど出ずに近所とも交流を持たずに暮らすんです。

渋谷直角さんの妄想住宅イラスト

すごい。これは…3「人」暮らし…?

そう。僕とサイクロプスと超ドーベルマンの3人で暮らしているんです。僕はほとんど家から出ないので、買い物は超ドーベルマンが行ってくれて。サイクロプスは心優しい奴で、いつも庭で花を摘んだり、水をあげたりしている。

じゃあ、3人でこの家と庭の中で暮らしが完結しているということですか?

近所と交流は持たないんだけど、庭の塀に穴が開いていて、そこから子どもたちが勝手に入ってくるんです。それでサイクロプスや超ドーベルマンに出くわして「ウワッ!!」ってなるんですけど、サイクロプスも超ドーベルマンも危害を加えない優しい子らなので、すぐに子どもたちと打ち解けて一緒に遊ぶようになるんです。なんだけど、子どもたちが庭でキャッキャと騒いでいるのを、僕が「まったく!やかましくて仕事にならんわい!」といつも怒っているんです。

この家の住人

直角博士はだいぶ気難しいんですね。

けっこうツンツンしているんだけど、部屋の中に吊るしてある肉を削って焼いたものを、子どもたちに与えるような一面もあるんです。あと、庭にギロチン台とか危ないものがいろいろ置いてあるんですが、子どもたちがふざけてそこで怪我したりすると「コラー!」って怒りながらも、「何が危険か」とか「自分がやったことの結果」みたいな事を教えていく。そこで遊んだり学んだ子どもたちは、大人になってもそのことを覚えているんです。

周りからは孤立しているけれど、子どもたちが外の世界とのつなぎ役になっている?

そうです。もちろん子どもの親たちは「あそこに遊びにいっちゃダメって言ったでしょ!」とか言うんですけど、ここで学んで大きくなった子どもがマタギになったりして、狩った獲物の肉を届けてくれたりもする。それで僕は食べていくっていう。研究ではぜんぜん収入がないのに。

じゃあ、楽しみは子どもたちとの交流ですかね?

毎週土曜日は、近所のおしゃれでもなく美味しくもないイタリアンレストランで、ライバル研究者と食事をするんです。これまた偏屈おじいみたいな人と、「おまえの論文、ありゃ何じゃ!」「フン!おまえの研究よりマシじゃ」「何じゃと!?」とか口汚くののしり合いながら。それが楽しみになってる。

この家はどこにあるんでしょう?

杉並とか西東京の住宅街ですね。駅とかからは少し離れているところで、古い大きな家で売りたいんだけれど売れなくて、お化け屋敷みたいになったところを買い取ってリノベするんじゃないですかね…。実はひっそりモディリアーニの作品が残されていたりして、金に困ったらそれを売って生活費の足しにするとか。それで、地下には亡くなった妻が眠る…みたいな悲しいストーリーもにおわせつつ。

影もありながら?

そう。なんか、研究を続けているのは、それが原因で…みたいな話があるんじゃないでしょうか(笑)。

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