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Vol.1:かせきさいだぁ さん

リプラン妄想住宅

妄想住宅とは

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取材・文/大成 彩 写真提供/(株)スペースシャワーネットワーク(撮影/川島 小鳥)

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かせきさいだぁさん

1968年静岡県出身。桑沢デザイン研究所卒業。
1994年に1人で「かせきさいだぁ」を結成。1995年にインディーズ盤、翌年メジャー盤『かせきさいだぁ』を発表し、2012年までに4枚のアルバムを発表。2013年8月には5枚めのアルバムとなる『かせきさいだぁのアニソング!! バケイション!』を発表し、新旧アニメソングのカヴァーで注目を集める。
ワタナベイビー(ホフディラン)とのバント「Baby&CIDER」や、木暮晋也(ヒックスヴィル)とのユニット「トーテムロック」としてもリリース・ライブ活動をするほか、いとうせいこう&ポメラニアンズ≡、The Dub Flowerのメンバーとしての活動や、他アーティストへの歌詞提供などの活躍も知られている。
4コマ漫画『ハグトン』を中心に、単行本の自費出版、個展、WEB連載、企業とのコラボ商品開発など、アート活動も幅広く行っている。2013年11月に安齋肇氏との二人展「Anzai&Cider」が好評開催されたばかり。

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かせきさいだぁさんのお仕事

最終回の今回は、「妄想」の世界を離れて、かせきさいだぁさんのお仕事についてお聞きします。仕事に対する考え方や、ものづくりを仕事にしたい人の参考になるようなお話もしていただけました。

お休みの取れた時にはどのようにして過ごされてますか?

夏だったら実家に帰って釣り三昧してますね。あと家で映画を山ほど観たり。

お休みでも常に何かはしていたいという感じですか。

常に何かはしてますね。忙しい忙しいって言っても、傍から見たらものすごくボーっとしてるように見えるかもしれないですけど、ジョギングしたり散歩したりしているときは頭のハードディスクを整理している状態みたいです。考えごともしているけど、何も考えずに整理もしているっていう。釣りをしているときも、わりとそういう状態みたいです。

情報が入ってこない状態にして、頭の中を整理する時間が必要ということですね。

震災と原発事故の直後も、釣りをしてましたもん。もう、今できることはこれしかないと思って。怖いというのもありましたけど、仕事もあるから東京を離れられるわけでもないし。ちょうど『SOUND BURGER PLANET』*を作っている時で、曲を作らなきゃいけなかったんだけど、しばらくは何も書けなくて悩みました。それまで「ゆるい」と言われるような曲を書いて歌ってきていて、こんなことをしていていいんだろうかと思って。でも、釣りとかをしながら考えるうちに、そんな状況の時だからこそ、みんな音楽にまで重苦しさみたいなものは求めないんじゃないだろうかと思い至って。それで、それまで以上にその方向性を「やろう」と決めてやりました。

コンセプトが変わるのではなくて、今までのコンセプトを意図して貫くことでメッセージを届けるという?

「夏をプレイバック」**はこの時期に作ったんですが、どこに住んでいても「この今年の夏はもう二度と来ない」と思って生きたほうがいいと思うし、そう生きざるをえない状況になっている、というようなメッセージはあります。ただ、もともとメッセージを直接的に伝えるという音楽ではないので、なんとなく誰にでもあるような思い出の情景を歌にして、みんなに「そんなことあったよな」って共感してもらいやすくする、というやりかたにしてます。

かせきさんの作品に「夏」がテーマの曲が多いのは、その共有できる情景や情報が多いからなのでしょうか。

夏は共有できるキーワードが多いですよね。イベントも多いし。春や秋はやっぱりその季節ならではのグッズを探すのが難しいし、期間が短いということもあって難しい。あとは、僕の場合は、昔から夏の曲じゃなくても「夏っぽくていい」って褒められることがすごく多いんです。もう、褒められるとそれをどんどんやろうと思っちゃうんで。

かせきさいだぁさん

褒めらたことを、お仕事としてどんどんやっていく?

そう。やりたいことはもちろんいっぱいあるんだけど、人は一人で生きていけるわけではないので、自分がやりたくて楽しいってだけじゃなく、褒められて人の共感を得ることを増やしていったほうが人生楽しくなるというふうに考えていて。ラップを褒められたらラップをどんどんやるし、歌を褒められたらどんどん歌うし、今は絵を褒められてるから絵をたくさん描く。

それがひいては生活の糧にもなるということですよね。

そうやって人とコミュニケーションすることで、生活の糧にもなるし、充足にもつながると思ってますね。絵をたくさん描くようになってから「売れる絵を描くほうがいい」って言うと「そんなのアートじゃない」とか怒られるんですけど、僕的には売れる絵こそがアートであって、ただ描いていた絵を100円でもお金出して買うって言う人がいたら、それはその瞬間にアートになると思っているんです。だからアートを志すんであれば、売れる絵を描くべきだって思います。そのために仕上げをキレイにって工夫をしたりもするし。

それは音楽も同じですか?

音楽もそうですね。作りたいものって言ったら、細野三部作みたいな実験的なものを延々研究して作りたいっていうのはあるんですけど、それじゃあやっぱり売れないし、お客さんが付いてこれない(笑)。13年間出さない時期があって3枚目を出すときも、やりたい方向にバーッと行こうとしてたんですけど、ボーちゃん***に「今までのお客さんも聴くんだから、“かせきさいだぁの音楽”って分かるようなものも入れておかないとダメだ!」って怒られて、それからラップの曲を作りましたから。

やっぱり、やりたいことよりも求められること、褒められることに重点を置いている?

今はただラップができるからって褒められる時代でもないし、リリースしなかった13年間も「今やってもぜったい売れないし褒められない」っていう確信があったんです。ラップに関しては人がやらないようなすごく跳ねているものもやっているし、「急げハリー!!」****だとか「ホップアート」****だとかは、自分としてはけっこうな高みまで登り詰めたと思って充足感もあったんだけど、その登った山には誰も興味がないっていう現実があった。それがすごくショックだったというのもあって、理解されるものができるまでは出さないでいようと思いましたね。

そこから13年経って出す、というところに至ったというのは、歌や作曲などそれまでご自身でやられていなかったことをするようになったということと関係があるんでしょうか?

人に作曲をお願いすると、もちろんとてもいいものができるんだけど、完全に自分のイメージ通りというわけじゃないですよね。あと、歌も歌うつもりはなかったんですけど、歌ったらすごく褒められたのと、自分で歌えればライブも楽だってこともあって。そうやって自分でやる部分が増えると、それだけコンセプチュアルなものを作りやすい。あとは、それをどう「分かりやすく」表現するかっていうことが分かってきたというのもあります。

分かりやすくというのはプレゼンテーションのしかたとして?

そうです。どうやっても自分らしさっていうのは作るものににじみ出るので意図してやるということはありませんが、それをいかに分かりやすく伝えるかっていうことをすごく考えてますね。キャッチコピーなりタイトルなり。だから『ミスター シティ ポップ』*****なんかは、とにかく分かりやすいっていうことで、ディレクターからもすぐオッケーが出ました。音楽ではすごくいろいろなことを試みていても、お客さんに伝わる部分は意外と少なかったりするんです。だから分かりやすく、分かりやすくしたいと思ってます。

かせきさいだぁさん

今後の予定を教えてください。

まず、今年はまたアルバムを出したいと思っています。今2曲くらいできている曲があるので、夏頃に配信でシングルをリリースして、冬にアルバムが出せたらなあと考えて、曲作りの真っ最中です。ライブはできるだけたくさんやりたいと思っているし、ゴールデンウィークにはまたお祭り的なことを計画しています。自分で企画して全部やるんですごく大変なんだけど、それが楽しいかなって思って。

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*2011年、13年ぶりに発売した3rdアルバム
**『SOUND BURGER PLANET』収録曲
***スチャダラパーのBOSEさん
****1997年発売のアルバム『SKY NUTS』収録曲
*****2012年発売した4thアルバム

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<ライブ情報>
2014年1月18日(土) さるハゲロックフェス/かせきさいだぁ&ハグトーンズ
2014年2月8日(土) 京都SOLE CAFE/トーテムロック
2014年2月9日(日) 神戸BO TAMBOURINE CAFE/トーテムロック
2014年ゴールデンウィーク ???

<好評発売中>
かせきさいだぁ『かせきさいだぁのアニソング!!バケイション!』
2013年08月07日発売/価格: 2,500円(税込)/DDCB-12057/AWDR/LR2

<かせきさいだぁ Official Site>
http://kasekicider.com/

かせきさいだぁのアニソング !! バケイション !

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