玄関を入ると目を引くのが格子の引き戸。靴を脱いで、左手にあるその格子戸を抜けると、造作収納も充実したダイニング・キッチン、そして吹き抜けのリビングが広がります。対面式のキッチンの背後にはユーティリティと浴室が控え、玄関ホールへと回遊できる動線です。
リビングから2階へと上がる階段は、アールを描いた手すりが印象的。この手すりは集成材でつくられていますが、Hさん宅では収納はもとより、前出の格子戸や玄関ドアを含めた建具も全て造作で仕上げられています。
浴室の壁・天井とユーティリティの天井、土台には腐りにくいヒバを、リビングなどの壁には木チップ入りの紙クロスを使用。できるだけ自然のものを使い、健康的な家づくりが目指されたHさん宅では、家全体の暖房・換気計画でも同様に自然な空気の対流を促す設計がなされています。地下に置かれた蓄熱式電気暖房器の暖気は、階段の踏込み板を3段分開放して直接リビングに取り込んでいるほか、要所に設けた床面のガラリから室内へ。一見すると完全な個室のように見える2階の居室も、天井や壁の上部を開け放して、家全体の空間がどこかで必ずつながり、暖気が行き渡るように計画されています。
換気面でも最大限に自然な空気の流れを活用して、心地よく健やかな空間がつくり出されているHさん宅。4人の男の子が元気に走り回る、にぎやかな家族の風景が目に浮かびました。
文中写真:ダイニングからリビング方向。開口部にはブラインドを内蔵した木製サッシが使われている。
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