田舎の不便を逆手に取って日常の食生活から見直し
羊蹄山の美しい姿と実り豊かな田園を望むIさんの家。約2500坪という広大なミズナラ林に溶け込むように佇む住まいは、農家の古い納屋を思わせます。
「自然の中でのびのびと子育てするのが、私たち夫婦の願いでした。たまたま2年ほど前に、建築家の染谷さんの家が紹介された記事を見て、この人となら思い描いた暮らしを実現できると思い相談しました。そして、一緒に土地探しからはじめたんです」と奥さん。
田舎暮らしを夢見ていたころのIさん一家は、札幌でマンション暮らしをしていました。その当時から家族の最大の関心事は、食べること。それだけに、住まいのプランづくりでも、日常生活の要となるキッチンが大きなポイントになりました。
「蘭越では札幌のように、いろいろな食材がいつでも手に入りません。かといって、買い出しに時間をとられることも、手に入らないことでフラストレーションを感じるのも、不本意。それならば環境に合った食生活をしようと、以前から関心のあった『マクロビオティック』に切り替えることにしました」。
マクロビオティックとは、日本の伝統食をお手本に、玄米と雑穀、無農薬有機農法の野菜、豆製品、海草類を基本にして献立を組み立てる食事法です。食材や調理法が決まっているため、キッチンに必要な設備もおのずと決まります。
「ですから、あっても無駄になる設備はプランから排除し、必要な設備は使い勝手の良いものを、染谷さんに吟味してもらいました」。
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