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*新築事例:一押し住宅

イチ押し住宅
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イチ押し

キッチン

必要なものだけを徹底チョイス!

田園生活のための
自然派キッチン


■北海道蘭越町・Iさん宅
■家族構成/夫婦30代、子ども3人
■設計/アルクム計画工房・染谷哲行
 TEL:011-281-1515
 HP:http://www.alkumu.com/
 E-mail:som@yacht.ocn.ne.jp



田舎の不便を逆手に取って日常の食生活から見直し

 羊蹄山の美しい姿と実り豊かな田園を望むIさんの家。約2500坪という広大なミズナラ林に溶け込むように佇む住まいは、農家の古い納屋を思わせます。  「自然の中でのびのびと子育てするのが、私たち夫婦の願いでした。たまたま2年ほど前に、建築家の染谷さんの家が紹介された記事を見て、この人となら思い描いた暮らしを実現できると思い相談しました。そして、一緒に土地探しからはじめたんです」と奥さん。
 田舎暮らしを夢見ていたころのIさん一家は、札幌でマンション暮らしをしていました。その当時から家族の最大の関心事は、食べること。それだけに、住まいのプランづくりでも、日常生活の要となるキッチンが大きなポイントになりました。
 「蘭越では札幌のように、いろいろな食材がいつでも手に入りません。かといって、買い出しに時間をとられることも、手に入らないことでフラストレーションを感じるのも、不本意。それならば環境に合った食生活をしようと、以前から関心のあった『マクロビオティック』に切り替えることにしました」。  マクロビオティックとは、日本の伝統食をお手本に、玄米と雑穀、無農薬有機農法の野菜、豆製品、海草類を基本にして献立を組み立てる食事法です。食材や調理法が決まっているため、キッチンに必要な設備もおのずと決まります。
 「ですから、あっても無駄になる設備はプランから排除し、必要な設備は使い勝手の良いものを、染谷さんに吟味してもらいました」。




キッチン全景 レンガタイル敷きの土間を挟んで、収納、ダイニングテーブルを組み込んだ水まわり、ガスオーブンレンジとコールドテーブル(冷蔵庫)を横一列に配置。大型のダブルシンクを採用。深さがあるので洗い物がしやすく、下ごしらえも後片づけも楽々とか。上下には調理道具や雑貨、食器などを、使い勝手よく収納。使い込まれた道具や籠、木箱が並ぶ風景からも、奥さんが日々の暮らしを心から楽しんでいる様子がうかがえる。

コールドテーブル オーブンレンジ横のステンレスの作業カウンターは、「コールドテーブル」と呼ばれる業務用冷蔵庫。200Lと単身者向けの冷蔵庫並みの容量だが、肉や魚、乳製品を摂らない Iさんの家では「十分な大きさ」。来客でビールをたくさん冷やすときには、家の裏にある湧き水の小川を利用する。

コンロ・オーブン 「パンや焼き菓子などは全部自分で焼くので、大きなオーブンはとても使いやすいんですよ。それに、コンロは熱効率が良くて火力の強いセンターバーナーなので、エネルギーの無駄がなく、炒め物がとっても美味しくできます」。周りには鍋類や調味料、スパイスを飾りながら収納。その充実ぶりからも、食に対する情熱が伝わってくる。 キッチンカウンタ 住まいの中央に位置するキッチンは、玄関から通り土間、裏口、室内各所に有機的につながっている。子どもたちが家のどこに潜んでいても、手に取るようにわかる。

手づくり生活の愉しさを分かち合う参加型厨房

 蘭越での暮らしをのびやかに楽しむために、食生活を都会モードから田舎モードにシフトし、キッチン・プランを練ったIさん一家。そのこだわりの造作キッチンは、住まいの中心にあります。玄関と裏口を結ぶ通り土間に接して設けられたキッチンは、ダブルシンクと収納、ガスオーブンレンジとコールドテーブルを左右に配置。厨房設備は、すべてヤマゼンの業務用機器を採用しています。中でも、ハイカロリー・大容量のガスオーブンレンジは、パンや焼き菓子などを毎日のように焼く奥さんのたっての希望で取り付けたものです。
 「見た目はごついのですが、実際に使ってみると手づくり中心のわが家の食生活にピッタリ。長い時間、台所仕事をしていても、苦になりません。既存のシステムキッチンでは、この満足感は得られなかったでしょうし、コスト的にもリーズナブルだったと思います」と、奥さんは嬉しそうに話してくれました。
 収納はオープンな造りを基本に、必要に応じて、籠や木箱、ガラス瓶を使い、調味料や保存食、調理道具などをしまっています。
 「ここでは自分たちの手でつくることを大切にした生活をしたかったので、キッチンの空間もつくり過ぎないようにしてもらったんです。自分たちの手を加える余地を残すことも、暮らしのゆとりになると思うのです」。
 キッチンを核にしたカフェのような空間には、毎日のようにご近所さんや友人がふらりと訪ねてきます。また「自然にやさしい暮らしの魅力を多くの人に知ってもらいたい」と、開放的なLDKを利用して、折々に音楽会やクラフト作品の展示会なども開催しています。その際にも大活躍するのが、住まいの顔であるキッチンです。
 「オープンな造りなので、5〜6人で台所仕事をしても動きやすいんですよ」。
 キッチンから生まれる美味しいコミュニケーションが、Iさん一家の田舎暮らしを、よりいっそう心豊かなものにしています。




コンロ・オーブン 玄関部分は、雁木通路から続く通り土間になっている。 キッチンカウンタ 微妙に角度がついた雁木通路。羊蹄山を望む方向に窓が設けられている。



風呂 上:「水の間」にある風呂。
右上:キッチン脇の通り土間に置かれたクッキングストーブ
右:2階「中の間」から見る。
土間
土間




茶の間 「茶の間」と「だいどこ」、奥の「水の間」、その上部の「中の間」、さらに最上部の「天の間」まで空間が続くダイナミックな構成。





茶の間


間取り図



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