↑アヤメ川に向かって大きな窓を付け、自然との一体感を楽しむ。 |
アヤメ川沿いの家
■伊達市・Sさん宅 |
自然と暮らすことの楽しさ、豊かさを提案したい。そんな真摯な気持ちから始まった家づくり。最初は見向きもされなかった土地に、家族が安心して暮らせるよう土にかえる自然素材を使い、隣接する川との共生を目指したところ、大きな共感を呼ぶ結果となりました。 伊達市は市街地を流れる小河川の多いところで、アヤメ川もそのひとつ。この川には市民グループの働きかけで、市が護岸工事を中止したという経緯があります。自然のままの姿を残す川のせせらぎと雑木林を楽しむ「水車アヤメ川自然公園」は、1,5キロの散策路が整備され市民の憩いの場として親しまれています。 ちょうど、この川沿いの土地が売りに出ていたことを知った須藤ホームさんは、「恵まれた立地条件を生かして自然を取り込んだ家づくりをしてみたい」と早速土地を購入。土地にほれ込みオーナー探しは二の次でしたが「こんなステキな場所なら、オーナーもすぐ見つかるだろう」と判断。しかし予想は見事に裏切られました。建築の仕事をしていると土地を見てどんな家が似合うのかイメージできるのですが、一般客には難しいもの。そこで提案型の建て売り住宅を建設することにしました。 ポイントはもちろん目の前のアヤメ川と雑木林を楽しむこと。川に向かって開口部を大きくし玄関を開けた時から、自然の息吹を感じることができます。 木材や塗料など妥協しない自然素材へのこだわり 「環境共生」をテーマに、土にかえる素材を使い自然の素材とアヤメ川の自然との共生を意識。地球にも人にも優しい、家族が健康に暮らせる家を目指したことはいうまでもありません。 例えば床材はパインの天然無垢材やツーバイ材の加工板を使用し、木部はリボスの植物成分と蜂蜜ワックスを原料とした無公害で安全な塗料を塗っています。壁全体は天然の紙を素材にチップの質感が特徴の天然壁紙ルナファーザー。通気性、吸湿性に優れた呼吸する材質で、焼却しても有害な化学物質を発生しません。水まわりの床は天然素材100%のリノリュームで、深みのある色調と質感が楽しめます。決して妥協することなく、素材選びには徹底的にこだわりました。こうした仕事ぶりからも須藤ホームさんの、真面目な家づくりが伝わってくるようです。 また空間のプランは家族のライフスタイルによって、自由に変更できるようになっていて将来的はリフォームも容易です。1階は居間と食堂を一体の吹き抜けにして、オープン階段で広がるのある開放感が楽しめるように。2階の天井高を最小限にすることでローコストが可能となり、三角屋根の形状で大きく突き出たひさしは、強い日差しや雨から建物を守る役目を果たします。 結局、この家は基礎を造っている段階で、須藤ホームさんの意気込みを理解するオーナーが見つかりました。室内に居ながら自然を楽しむ人に優しい家。小鳥のさえずりで朝が始まり、日ごとに変化する目の前の自然を眺め、のびのびとゆったり暮らす。決して贅沢な素材を使っているわけではありませんが、心豊かに暮らせる要素に満ちあふれています。当初はリスクを背負ってのスタートでしたが、きっと危機感よりも「いい家ができる」という自信のほうが勝っていたに違いありません。 |
↑珪藻土タイルを貼ったキッチン。 |
↑自然の中で食事を楽しむようなダイニング。 |
↑右手オープン階窒ニ吹き抜け。 川を見下ろす景色もまた格別。 |
↑間仕切りが自由に変えられ、柔軟性に配慮した設計。 天井はF1のラーチ合板。 ↑モルタル仕上げの外観。色みも自然との調和を考えて。 |
↑川側から見る。道路側とは反対に窓が多いことがよくわかる。 |
↑気密、断熱性にすぐれ、こんな大きな開口部があっても 冬は暖かく過ごせる。 |
↑テラコッタタイルを使用した、 ナチュラルな雰囲気の玄関。 |
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■建築データ 構造規模/木造・2階建て、延床面積/116.30m2(35.1坪)、 <外部仕上げ> 屋根/ガリバリウム鋼板 素地 蟻掛け葺き、外壁/モルタル25mm櫛引き仕上げ 一部米松スウエーデン貼り・オリンピックステン仕上げ、建具/プラスチックサッシ(複層ガラス、Low−Eアルゴンガス)、 <特徴的な内部仕上げ> 床/1階パインフローリング、水廻りリノリウム、2階SPF加工板、テラコッタタイル、壁/再生チップ入りルナファーザー、ラーチ合板 台所 珪藻土タイル、天井/1階SPF加工板あらわし、2階ラーチ合板、 <断熱仕様> 基礎/外断熱押し出し法ポリスチレンフォーム2種75mm、床下/土間コンクリート120mm、壁/高性能グラスウール 24kg100mm、屋根/高性能グラスウール16kg100mm×2 ■工事期間/平成11年11月〜平成12年3月(約4カ月) ■工事費用/約1900万円(住宅本体) |
前回でご紹介の家はこちらです |