■札幌市中央区・Kさん宅 |
応接室より玄関、アプローチ部分をみる。 |
食堂。右側にはテラス。 |
文/豊嶋 守 敷地は緑が多く落ち着いた環境の、宮の森の古くからの住宅地である。25年前に設計した想い出深い住宅の1階部分の増築工事と造園・外構工事の仕事を久し振りに受ける事となった。約36坪の住宅は以前は西側の仲通に面して建築されたが、その後南側・東側に隣接して敷地を購入した結果、敷地が約3倍の広さになり、東側の広い道路にも接する敷地形状となった。 |
今回の増築の目的は既存部分のプランはほとんど変えず、東側へ食堂と応接室そして東側道路に面した玄関をつくることであった。東側の敷地は道路へ向かって低くなっており、既存部分との高低差を解決するのも大きな問題であった。玄関は道路より約8m後退して交通量の多い道路からの騒音を避ける位置とした。道路よりゆったりと階段を上り、5mのブリッヂを渡って玄関へと導き、ブリッヂの途中からも庭や中間領域的なポーチの空間を楽しむ仕掛けとなっている。ポーチ空間上部は木製のルーバーを空中に走らせ、外部でありながら内部空間的な雰囲気を期待した。 応接室は庭と面する窓と、アプローチ空間に面する2つのピクチャーウィンドウを持つ静的な空間とした。食堂は既存の台所と居間に続く空間とし、既存建物と増築部分の接合部分の壁に囲まれたプライベートなテラスへと繋がっている。既存の居間は、内部仕上げを新しくし、建具・家具はナラ材で統一した。 外部は、外観に既存建物と同一の白を基調としたトーンを踏襲し、広い庭の中にカーポート・バーベキュースペースを設け、グリーンウォールの横の広がりと繊細な水平線の美しさの対比を試みた。道路に連続する札幌軟石は、土留を兼用しながら道行く人々が歩き疲れた時の為に、ベンチとしても利用される高さとした。アプローチ中庭部分には平田克博氏の古材のオブジェ兼ベンチが芝生と敷石の空間に置かれ静的な空間に強いインパクトを与えている。小規模ではあるが、計画時より美しいランドスケープとなり、周辺環境ともより良い関係を夢見た建築である。 |
東側道路より見る全景。建物右手前が増築部分。歩道との敷地境界に連続して置かれた札幌軟石は通りを行く人々にベンチとして利用できるよう配慮されている。 |
BEFORE 既存庭より建物と増築部分の接合部分であるプライベートテラスを見る。 |
応接室。ピクチャーウィンドウを通して庭とアプローチ空間が見える。 |
ブリッヂより見る庭。古材を再利用したオブジェ兼ベンチを設置。 オブジェ制作/平田克博 平田木工 011(612)0480 |
玄関からブリッヂ部分を見返す。 |
ブリッヂ部分。 左手に庭を見ながら外部から内部空間へと誘導される。 |
↑東側道路正面より見る増築部分。上部ルーバーより差し込む光とその陰が白を基調とした外観をさらに引き立たせる。 →増築部分である食堂〜応接室を既存居間より見通す。 |
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応接室の様子 |
応接室より既存部分の居間までを見通す。仕上げは珪藻土とナラ材で。 |
庭より見る。手前レンガ敷き部分はバーベキューコーナー。 |
既存庭より既存建物と増築部分の接合部分であるプライベートテラスを見る。 |
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前回でご紹介の家はこちらです |