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リフォーム特集実例:棟晶(株)

ライフスタイルも性能も諦めない
よくばりな家

札幌市西区・暮らしかた冒険家宅 設計・施工/棟晶(株)

プロのリノベで暖房費1/3を実現

築30年ほどの実家を自分たちの手でリノベーションしながら、思い描く快適な暮らしをつくってきたジョニイさんと菜衣子さんのご家族。低燃費で暖かく快適な住まいをつくるには、やはりプロの知恵と技術が必要と考え棟晶株式会社に相談しました。2人の夢を叶えた早坂晶秀社長を交え、性能がアップした住まいの住み心地をうかがいました。

道産子が求める冬の暖かさに驚愕しました

ジョニイ 以前は熊本県の築100年の古民家で暮らしていたのですが、そのときも冬になると菜衣ちゃんは「寒い、寒い」と言っていました。生まれも育ちも東京の僕にしたら冬は家の中でもある程度寒いのは当たり前。「道産子なのにそんなに寒いの?」と思っていました。それが2014年から札幌で暮らすようになって、冬に知人宅へ行くと家の中が本当に暖かい。想像を超えた暖かさで、それが北海道クオリティらしいと気づきました。
菜衣子 自分たちで札幌の実家をリノベーションして薪ストーブで暖を取ることにしたのですが、道産子クオリティで最低限の暖かさを確保してひと冬過ごすには9㎥の薪が必要だったんです。夏ぐらいから「そろそろ薪を割らないと間に合わないよ〜」と言って少しずつ用意してもなかなか捗らなくて、結局は薪が足りなくて薪屋さんで買うことになる。それでも家の中は寒いし、買ってもどんどん焚いてなくなってしまって、「どうしてだろう?」って考えたわけです。
ジョニイ それで、北海道で暖かく冬を過ごせる家ってどうやったらつくれるんだろう?って真剣に調べて勉強をして、どうやら室温を20度に設定したときの床面積当たりの年間暖房負荷は、戸建ての家の場合は150kWh/㎡らしいということがわかりました。仕事の合間に薪割りをして準備できるのが3㎥くらいだから、この量だけでひと冬越せるような性能の家で暮らしたいな・・・と。
菜衣子 なかなか思うように薪が割れなかったりして「なんでやらないの?」などとお互いイライラするよりも、これは家を暖かくしたほうが早いし確実な気がして。そこで相談したのが、ドイツの厳しい住宅基準であるパッシブハウスをつくる技術のある棟晶株式会社だったんです。
早坂 断熱改修のお話をいただいた時、おふたりは家の燃費についてとても勉強されていました。快適な家は低燃費であることもご存知で、ひと冬で使う薪の量が1/3ですむ家にしたいと、要望も明確でした。ソフトを使って計算すると、その当時の家は年間暖房負荷が170.04kWh/㎡でした。今回の改修では、この数字を1/3にすることを目標に定め、室内側はすでにDIY済みでほぼ完成していたので、外側からの断熱改修、そして外壁張り替え、全窓交換を提案しました。窓は、出窓をなくして全て高性能トリプルガラス樹脂窓に交換することが必須でした。


窓からの熱損失が思わぬほど大きい

菜衣子 窓の取り替えはこちらからもリクエストしようと思っていました。というのも、オープンハウスやモデルハウスを見学したときに、大きな窓の前に立ってもさほど寒さを感じない。でも、家の窓の前に立つとものすごく寒く感じる・・・。これは窓がダメなんだと思い、全ての窓をYKK APの高性能トリプルガラス樹脂窓にしてもらおうと決めました。
早坂 寒い家を暖かくリノベーションするには、住まいの中でつくった暖かさ、熱が逃げていく原因を一つひとつなくしていくしかありません。住まいの中で窓は思わぬほど熱損失が大きな場所。そこを断熱性能の高い窓に変えるだけでも、室内の温熱環境は格段に向上します。今回は外壁を剥がして、基礎を含め外から断熱材を100㎜追加し、天井にも断熱材を300㎜追加して、玄関ドアは断熱性の高い高性能なものに変えました。窓は高性能トリプルガラス樹脂窓に交換するのと同時に、大きさも変えています。南面は太陽の熱をしっかり取り込めるように大きくし、東西北面はなるべく小さくしました。これだけで計算上で床面積当たりの年間暖房負荷が48.77kWh/㎡になりました。
ジョニイ 出窓だった場所は床まである大きな窓に変えてもらいましたが、今は外気温が低い日でも窓の前で寒いと感じることがありません。日差しのある日だと、窓の前は日射でぽかぽかとした暖かさを感じるくらい。子どもが窓の前で遊んでいても、寒くないかと心配することもなくなりました。
菜衣子 基礎断熱のおかげで床が暖かくて、子どもが素足で遊んでいても気にならないし、何よりも『寒くて行きたくない場所』がなくなったのが大きいですね。家の中はある程度の温度が常に保たれているので、寒い場所というのがないんです。もちろんストーブの前が一番暖かいのですが、離れがたいという感じがなくなりました。


住まいが暖かくなると暮らし方が変わる

早坂 断熱の構成を付加変更したり窓を高性能トリプルガラス樹脂窓に変えると、家の中は断熱性能が上がるのと同時に静かになります。例えば、雨や風が強い日も家の中では静かですし、窓から冷気が感じられないと外の寒さも想像できません。それだけ外気温や気象に左右されない暮らしができるということです。もちろん、デザイン的に譲れないという点もありましたから、プロとして性能アップを提案する中での擦り合わせのポイント探しが重要でした。そこも今回はきちんとクリアできたのではないでしょうか。
ジョニイ そうですね。外壁を道南杉の板張りにしたいというリクエストも、塗装を自分たちで行うことで予算を抑えられて実現できました。窓や玄関ドア付近の結露もなくなったし、なによりも嬉しいのは住まいの燃費が1/3になっただけじゃなく、温度ムラがなく快適になったことですね。
早坂 バイオマスを利用する薪ストーブで暖を取りたいという気持ちは、これからの時代はとても重要だと思うんです。そういう気持ちも大切にしながら、暖かく快適な住まいをプロの視点から提案していくのが当社の仕事だと考えています。新築で家を建てるときにプライオリティの上位を占めるのは、収納スペースの大きさだったり設備の性能だったり、デザイン性の良さだったりしますが、それらは暮らすうちに変わってきます。暖かさや静かさ、燃費の良さなどが上位になってくる。断熱・気密の良さが求められるようになるわけです。それなら最初から、断熱・気密性能が高く低エネルギーで暮らせる家を提案したほうがいい。低燃費な家で暮らすと、1年目は『暖かい良い家だな』とただ感じているだけですが、2年目には『この暖かさを逃がさないためにはどう暮らせば良い?』となり、3年目には『そんなに室内温度の設定を上げなくても良いのでは?』と、どんどん低エネルギーな暮らし方になっていく。住まいってそこに暮らす人の暮らしを変化させる力を持っていると思うんです。そういうステップアップする気持ちを刺激する家づくりを、これからもしていきたいと思います。

Reform Point

【外壁】

剥がした外壁を道南杉の板張りに

【窓】

全ての窓をYKK APのAPW430に。南面は大きく、東西北面は小さく

【断熱・気密性能改修】

基礎も含め外断熱を100㎜追加。天井は300㎜の断熱材を追加

【玄関ドア】

高性能の断熱ドアに取り替え

■DATA

札幌市西区・暮らしかた冒険家宅
家族構成/夫婦30代、子ども1人
戸建て・築31年
リフォーム面積/104.14㎡
工事期間/約1ヵ月
工事費用/約680万円
<主な外部仕上げ>
外壁/道南杉サイディング、玄関ドア/木製断熱ドア、窓/高性能トリプルガラス樹脂窓 (YKK AP APW430、431)

設計・施工/棟晶(株)
TEL 0800-800-5565
札幌市東区栄町662-1
http://t-syou.jp

リプラン115号 Re・home実例

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