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1棟まるごと電化リフォームのポイント
マンションに住む個人が自宅を電化する場合には、マンション全体の電気容量にも関わってくるので、事前に管理組合に相談することが求められます。となれば当然、マンション1棟まるごとの電化リフォームでは、電気容量のことなど要チェックポイントがいろいろ。そこでここでは、実際に電化リフォームをしたマンションの事例をもとに、そのポイントを見てみたいと思います。 |
基本的なポイント
1:必要な電気容量の大幅アップにともなう、電気的環境の整備。 ・従来より広い電気室の確保。 ・「シャフト」と呼ばれる電気配線の主軸部分の容量を確保。 ・シャフトは共用財産にあたるので、工事には管理組合の承認が不可欠 2:各戸に電気温水器が設置できることの確認。 ・設置場所の確保。 ・設置場所の床が電気温水器の重量に耐えられるかの、強度確認。 3:管理組合のしっかりした運営力が必須。 ・各戸の理解を得て様々な条件をクリアする。 |
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4LDKのお宅を拝見。居間の入り口横に電気蓄熱暖房器がある。
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札幌の大型マンションが電化に踏み切った理由 北海道電力の話によると、現状で築20年を過ぎるマンションの場合、配管系統などの老朽化から集中暖房システムの改修が必要になってくる物件が多いそうです。そんな中、平成12年に全120戸という規模を持つ札幌市中央区の緑苑第二ビルが、1棟まるごと電化リフォームを実現。北電にとっても初めてのケースという大型マンションの電化リフォームについて、その経緯などを同ビル住宅管理組合理事長の谷口信一さんにうかがいました。 現在築24年の同ビルがリフォームを検討しはじめたのは、平成5年。当時はスチーム状の高温水を買い取り、自家で適温水に変換して各戸に供給する特殊な集中暖房システムを採用していました。 設備が老朽化してきたので改修を検討したら、特殊なシステムのため、たいへん高い費用がかかってしまうことがわかったんです。そこで灯油、ガス、電気、3種類の熱源を比較検討することにしました」と谷口さん。 その結果、まず灯油にはタンクの設置場所や維持費、設備が増え過ぎるなどの問題点がありました。ガスはイニシャルコストは低いけれど、給排気の配管などに制約があるため採用は難しく、電気が一番手軽で取り入れやすいという結論に達したそうです。 住人からモニターを募って暖かさ、ランニングコストを実際にチェック 「総会で電化リフォームを提案すると、本当に暖かいのか、ランニングコストは安くなるのかという疑問の声が多くあがりました。そこで、モニターになってくれるお宅を5戸募集。住んでいる階数など条件の違う5戸を選んで、全戸に先駆けて施工し、平成7年、ドリーム8の料金設定で1年間データを取ってみたところ、暖かさ、暖房費ともに心配ないという結果が得られたのです」と谷口さんは話します。 しかし当時はまだまだ電化に対する認知度が低く、住民の理解を得るには様々な努力が必要でした。北電の担当者が1戸1戸足を運び、機器の実物を見せる機会をつくって説明。そうした地道な活動の末、ほぼ理解が浸透した平成11年、今度は北電サイドから「融雪用電力のホットタイム22を使用したほうがイニシャルコストが安くなる」という提案があり、急遽またモニターを募ってひと冬データを取ることに。その結果、暖かさも料金についても心配ないことが証明され、平成12年3月の総会で、全員一致で暖房と給湯の電化リフォームが承認されました。 電気室、電気温水器のスペースも確保でき、暖房費も確実にダウン 電気室のスペースは隣接していたトランクルームの空間をつないで広げ、また電気温水器の置き場所は、各戸のトランクを使用することで解決。暖房機器の種類や台数、電気温水器の種類は各戸ごとに業者と相談し、希望者はクッキングヒーターも付けられる電気的な環境を整えました。現在、クッキングヒーターを導入しオール電化にしているお宅は約30戸あり、徐々に増加傾向にあるそうです。 同ビルの場合は幸い電気室や電気温水器のスペースを確保できたこと、そして何より管理組合がしっかりした運営力を持ち、モニターとして協力者が得られたことなどが、電化リフォーム成功のポイントになりました。施工後は暖房費も確実にダウン。電化の快適性も実感し、苦情等は出ていないとのことです。 社会の高齢化にともない、今後ニーズが増えてくるだろう中古マンションの電化リフォーム。同ビルの存在は、様々な条件をクリアすれば、1棟まるごとの電化リフォームも可能なことを実証してくれた好例といえます。 |
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ベランダの窓上のエアコンは、冬暖房として重宝している。
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奥の部屋のパネルヒーター。このほか別の部屋にもう1台設置。
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キッチンにはクッキングヒーターが。
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電気温水器は玄関横のトランクにすっぽりと納まっている。
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電気室。床面の違いによって以前のトランクルーム部分がわかる。
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前回ご紹介の家はこちらです |
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