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リフォーム事例:暮らし上手さん


  近々あそこを、次はここに手を加えて
我が家は日々、発展進行中

■函館市・堂前守人さん

自分でできることは自分でする。それが僕の「生活する」ということ。
陶芸家・堂前守人さんは自らの言葉通り、自作の陶芸をインテリアに生かすだけでなく、 塗装から大工仕事、果てはお裁縫までこなして、何でもつくってしまうのでした。


文/森廣広絵 写真/森廣智幸
Text/Hiroe Morihiro Photo/Tomoyuki Morihiro


照明・飾り棚・椅子等、家具も堂前さんの手づくり。

「テラスから眺める景色が大好き」と堂前さん。より快適に、長くその景色を楽しむため、取材後、テラスは特注の建具をはめ込み、アクリル板で覆ってサンルーム風に改造された。

外観。外壁の桜色は、西部地区に建つ歴史的建造物にも多く使われている。「新しい住まいが周辺の街並みに溶け込むように」と、堂前さんが特にこだわった色の一つ。

淡いピンクに黄色、水色、若草色、墨色、銀彩。堂前さんがつくる、野山の花々や木々の柔らかな彩りと力強い土や光の色を巧みに組み合わせた作品は、道外の愛好家に大人気。函館港を見下ろす高台に昨年4月に完成した工房兼住宅もまた、ナチュラルで手づくりの温かさに満ちています。
 三角屋根のシンプルな外観は、桜色。室内も、部屋ごとに黄色や若草色、水色、桃色、緑、赤など、様々な色で塗り分けられ、日本というよりは、海外のリゾート地にあるお宅にお邪魔したようです。そのカラフルな空間は、堂前さんがつくった照明器具や水まわりのタイル、ドアノブ、洗面ボウル、スイッチカバーなどが多数散りばめられ、より華やかな雰囲気に演出されています。
 「住みながらコツコツと手を加えていけるように、家を建ててもらいました。室内のペイントも、色見本を片手に自分でしたんですよ。水まわりのタイルは新築に合わせてつくったものですが、その手間と経費を考えたら莫大なもの。でも、自分でできることは自分でするのが、僕にとっての『生活する』ということ。ですから、手抜きはしたくなかったんです」。
 そう語る堂前さんは兵庫県で生まれ、お父さまの仕事の関係で函館で高校生活を送りました。その後、陶芸家を目指し、愛知県瀬戸市の窯業専門学校で学び、オーストラリアやニュージーランドの工房で2年間、修業しました。
 「外国のやきものを勉強したくて向こうへ渡ったのですが、暮らしに対する考え方も随分と影響を受けました。独立する時に函館を選んだのも、自由な気風と丘と海がある街並みが、修行先だったニュージーランドのオークランドに似ていたから。家づくりを積極的に楽しむ姿勢も、現地の人たちの暮らしぶりから学んだものです」。

ダイニング。大小250枚のタイルを組み合せた壁が目を引くキッチン。小さなタイルには様々な花模様が描かれている。


おしゃれなドアノブ。 壁に取り付けようとつくったコートフックを代用している。いずれ新たにドアノブを製作し、取り替える予定。







1階工房にて堂前さん。「家づくりを通じて、陶器の可能性を改めて実感。これから、テラスをサンルーム風に改造する予定です」。

 住まいを彩る作品の中には、ちょっと珍しいものもあります。玄関まわりに敷き詰めたレンガ風のタイルがそれです。彩り豊かな堂前さんの作品とはひと味違い、土味を生かした武骨な表情のそれは、工房で半端になった粘土を再利用し、仕事の合間に焼きためたものとか。「粘土を愛知や岐阜から運んでいるので、できる限り、生きたカタチで活用してあげたいんです」。また、建築中に出た端材も無駄にはしません。家具づくりも得意な堂前さんは「いつかは家づくりに役に立つはず」と、大切に保管してあります。家全体に漂う温かな雰囲気は、「どんなものでも家づくりに有効に生かそう」という堂前さんの姿勢から生み出されるものなのかもしれません。
 DIYの達人、堂前さんは家づくりに使う資材選びにも並々ならぬこだわりがあります。例えば、住まいをカラフルに彩っているペンキは、有害な化学物質を含まず、子どもが誤ってなめても安心なドイツの「オスモカラー」を使用しています。「安全で、色の種類、トーンが好みにピッタリだったんです。理想の住まいにするためには、建築資材の情報集めも大切。家を建ててからは、仕事で本州へ行った時に、DIYの材料を扱う専門店を見て歩くのが、一層楽しくなりました」。
 今年の家づくりの大きな目標は、リビングの続きにある10.5畳大の広々としたウッドテラスを「第二のリビング」につくり替えること。テラスの木製フェンスに建具を取り付け、内側からアクリル板で覆って、サンルームのように使う予定とか。「空間を有効に活用できますし、朝日を浴びて、港の風景を眺めながらここで朝ご飯を食べられたら、一日が気持よく始まりそうでしょ。そのために、テラス用のテーブルや椅子も新しくつくらなくちゃいけないし、やることは山積み。おまけに、今年は個展も多くて、仕事も山積み。困りましたねぇ」。言葉とは裏腹に楽しげな表情で、堂前さんは話してくれました。
 この未完の住まいは、堂前流のより快適で豊かな暮らしの実現に向け、これからも大いなる進化を続けそうです。


壁には、オブジェの制作で残ったパーツの手摺りと絵のようなコースターを飾って。

素焼きタイルを張り込んだ玄関ホール。奥の扉の向こうが工房。

小花模様の洗面ボウルも堂前さんの労作。照明のシェードも陶製。

500枚もの手づくり陶製タイルを壁に貼り込んだバスルーム。

鮮やかな黄色でペイントされた階段の壁には、モノトーンの陶板が飾られている。




上:階段を明るく照らしている向日葵柄の陶製のランプシェード。
下:既製のスイッチカバーから型をおこしたオリジナル。

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