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リフォーム事例:暮らし上手さん


  現代に蘇る戦前の家

■新十津川町・Nさん宅
■設計施工/武部建設(株)
    電話01267(2)2312


1階ではその昔、酒や塩、薬、タバコなどが売られていたそうです。

昭和の面影を後世に伝えながらも、住み手の快適性を追求

懐かしいノスタルジックな家が、暖かく快適になれば、これからも一緒に新しい歴史をつむいでいくことができます。民家再生は部材をもう一度使うだけでなく、ロマンと機能を融合させ、家本体を現代に蘇らせることでもあります。

棟上げの様子

昭和8年新築当時の様子

現在(リフォーム前)

断熱改修で暖かく住みよい家に。
おばあちゃんもひと安心


 空知管内の新十津川町に昭和初期に建てられた民家があります。聞くところによると、この家を建てた方は滋賀県の出身で、いわゆる近江商人。反物などをかついで農家をまわり一代で財を築き、本州で見られるような2階建ての大きな家を建てたといいます。
 職人の技術の粋を集めた立派な家ですが、戦前の建物ゆえ断熱もなければ、傷みも激しく2階の天井も落ちてくるという状況。ここに80代のおばあちゃんが一人で住んでいました。見るに見かねた娘さん夫婦は、「この古い家を壊したら使える材料があるかどうか見てほしい」と、古材を扱っている武部建設に相談を持ちかけました。確かに壊すのは簡単ですが、現場を見た武部社長は「再生してはどうだろうか?」とアドバイス。おばあちゃんにとっても娘さんにとっても思い出がぎっしり詰まった家なので、できれば残しておきたいという気持ちがあったようで、話は再生するということでまとまりました。
 文化的に価値のある家ですが、元どおりに復元するのでは寒くて使いづらいままです。「再生とは現代でも使えるようにすること。そうしないと建物自体がイキイキしてこないんです」と武部社長は考えています。そこで1階部分は新在来工法で断熱改修をし、室内の設備はすべて新しく取り替えました。ただし外観は以前の面影を極力壊さないようにしています。素材の劣化はもちろん、道路ができて水位が変わったことで家が傾くなど、いろいろ面倒な部分はありましたが、古い家は見事に再生。先人の苦労の結晶をただゴミとして廃棄することなく、現代に蘇らせた仕事の意味は非常に大きいはずです。歴史を刻んできた古い家を壊そうと考えている方は、今回の事例でもわかるように必ず再生できるので、まずは相談してみることをお勧めします。

どこを見ても細工ものにあふれている。

鬼瓦をのせた玄関の屋根。風格が漂う。

北海道では見る機会が少ない大きな2階建ての家。

2階には外側に戸袋があり、戸を全部仕舞うと全面オープンになる。 このあたりも本州の建物を思わせる。

2階はほとんど手を入れてないので当時のまま。

障子や欄間など日本家屋のたたずまい。

建具の細工が細かく、時間が経っても職人技が光っている。

収納スペースになっていた屋根裏。

「大工冥利に尽きる仕事でした」と棟梁も語る

 岩本隆棟梁は言います。
 「この仕事は燃えました。自分が、どんどんのめり込んでいくのがわかるんですよ。こんないい家に、もう一度息を吹き込めるなんてホント大工冥利に尽きる仕事でした。現場では昔の大工さんの職人気質がヒシヒシと伝わってくる丁寧な仕事ぶりに感動し、こっちも職人としていいものをつくらなきゃってライバル心がわいてきました。驚いたことに屋根はトタンを使っているんですが、玄関の部分なんて亀の甲羅の形にしたトタンを張り合わせているんですよ。スゴいね〜。どこもかしこも、びっくりするような家。宮大工の心得のある大工さんが携わっているようで、細工ものも素晴らしかったです。僕が生まれる前の家がこうして蘇り、お客さんに『よかった、よかった。岩本さん、ありがとう』と喜んでもらえ、大工として本望です」
職人をも奮い立たせたいい仕事だったことが、棟梁の言葉からも表れています。

対面式のキッチンで居間から採光を確保。

外観からは想像できないほど現代風の居間。

モダンな和室。暖房はセントラルで。

ユニットバスを入れて暖かいお風呂に。

バリアフリーのトイレは引き戸で面積も広め。高齢者にも使いやすい。


■建築データ
構造規模/木造・2階建て、延床面積/181.5m2(約55坪)、<外部仕上げ>屋根/長尺カラー鉄板横葺、外壁/カラ松下見板貼、サドリン仕上、建具/玄関ドア:アルミ玄関引戸、窓:アルミツインサッシ、<断熱仕様>床下/グラスウール16kg200mm、壁/グラスウール16kg100mm、天井/ブローイング300mm

■工事期間/平成12年5月〜7月(約3ヵ月)





古材ギャラリーオープン

 これまでも武部建設の古材に対する取り組みをシリーズでお伝えしてきました。長い年月、風雪に耐えながら家を支えてきたどっしりと太い古材。いまでは山でそんな木材を探すのも大変です。こうした古材の魅力をもっと気軽に知ってもらおうと、10月に三笠の事務所の敷地内に古材ギャラリーがオープンします。味わい深い古材にまずは触れてみませんか? 詳しくは次号でお伝えします。

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