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*新築事例:一押し住宅

イチ押し住宅

イチ押し
外観
夜、リビングの光がV字型の開口部からこぼれ、夕闇に浮かぶ音楽ホールのよう。

大好きな音楽と車が日々の暮らしに溶け込む、
森の家

■札幌市・Yさん宅
■設計/キタウラ設計室 北浦丈士
 TEL:011-856-7004
 E-mail:kitaura@office.email.ne.jp

 昨年10月に完成したYさんの家は、国蝶・オオムラサキが棲む自然豊かな森にせり出すように建っています。建築家・北浦丈士さんが、その恵まれた環境を生かして設計した住まいは、開口部を大きく取った開放的な造り。内装もナラやタモなどの無垢材と白を基調にシンプルに仕上げられています。
 そんなスタイリッシュな空間の中で、ひときわ存在感を放っているのが、木立ちを正面にV字型に大きく開口する、2階リビングに据えられたJBLの大型スピーカー。スピーカーから流れるジャズのしっとりとしたボーカルが、リビング全体にやわらかく響き、あたかもそこは「森のライブハウス」のようです。
 「学生時代から音楽が好きで、ライブには随分でかけました。その臨場感のある音を生活の中で楽しむのが憧れだったんです。ですから、あえてオーディオルームをつくらず、リビングに機器を置きました。おかげで、どの部屋にいてもいい音が楽しめて、ライブホールで暮らしているみたいなんですよ」。
 少年のように目を輝かせて語るYさんには、もうひとつ、子ども時代からの夢をかなえたお宝があります。それは「3歳から集めていたミニカーの中でもスタイルが格段に美しく、長年の憧れの的だった」というポルシェ。何台かの車を乗り継ぎ、ようやく、憧れの車のオーナーになれたのは5年ほど前のことでした。
 「実際に乗ってみて、安定感のある走りとスポーツカーならではの機能美を実感し、ますます好きになりました」。
 その美しい姿を家の中でも楽しみたいと、Yさんは新居の車庫の隣に、ガラス越しに愛車を眺められる自分だけの空間までつくってしまいました。Yさんにとって、車庫は単なる車置き場ではなく、大好きな車を眺めて楽しむショールームでもあるのです。好きなものは、時間をかけても必ず手に入れる。そんな姿勢は、家づくりにも反映されています。Yさんが知人を介して北浦さんと出会ったのは、今からおよそ7年前のこと。
 「この土地に建っていた中古住宅の建て替えを考えていたのですが、諸事情で2度ほど計画が中断。でも、北浦さんなら絶対に、美しく機能的な家を建ててくれると確信していました。北浦さんも気長に待ってくださり、3度目の正直でこの家が建てられたんです」。
 おしゃれな空間をより魅力的に見せているのは、Yさんの本当に好きなものにこだわり続ける、妥協のない一途な生き方なのかもしれません。

My Style
子どものころから憧れ続けた生活を、じっくりと時間をかけてカタチに。妥協のない理想の空間が、ここにあります。

ポルシェ
Yさんが長年イメージしていた「外車ショールームのような、シンプルで明るい空間」をカタチにした自慢の車庫。
大理石タイルの上にポルシェと並んで停まっているのは、奥さんの愛車アルファ・ロメオ。


■オーディオ収納のつくり方
 ラックの後ろにバックヤードを設け、乱雑になりがちな配線やCDを収納
 白いモダンなイタリア製の家具が、シンプルな空間に映えるリビング。Yさんが集めたオーディオ機器が置かれているはずですが、目につくのはJBLの大きなスピーカーだけ。実はリビングの白い壁に、ちょっとした秘密がありました。
 一見、普通の壁に見えますが、壁自体がオーディオ機器とCDの収納庫になっていたのです。
 リビング側の壁前面には、目隠しの扉が付いたオーディオラックが仕込まれています。ラックの裏側には、オーディオ機器の配線スペースと、1000枚近くのCDを並べられる収納棚が設けられています。
 「リビングは、どうしても生活感の出やすい場所でもあるので、極力すっきりと見せられるよう考えました。シンプルな空間に徹するなら、スピーカーも壁や天井に埋め込んで隠す方法があります」と、北浦さんはいいます。最終的には、Yさんの希望で音の響き具合を優先して、配線だけを床下に隠し、あえてこの場所に置くことになったそうです。
 収納力はたっぷり、でも、扉を閉じれば煩雑なものは、すべて見えなくなる。そんな北浦さんの巧みな収納マジックが、リビングを生活感のない、すきっとした空間に仕立てています。
リビング
インテリア関係の仕事をしている奥さんが長年憧れていたという、イタリア・B&B社のソファを置いたリビング。
「夕食後、ここで誰にも邪魔されず、お酒を飲みながら好きな音楽を聴くのが何よりの楽しみ」と、Yさん。

オーディオラック
オーディオ機器のラック(右)は扉付き。棚の両サイドから扉を引き出す。初期設計では、その左右の壁にスピーカーを納めるプランも提案された。
収納スペース
ラック裏の収納スペースは、大人ひとりがようやく歩けるほどの空間ながら、収納力はたっぷり。CDの高さに合わせて棚板を組み、Yさんが集めたジャズやヒップホップ、ロック、クラシックなどのアルバムがぎっしり並ぶ。

CD

CD

■車庫の考え方
 ライティングや素材の使い方で、見て楽しめる空間に変わります
 建築プランを練る際に、Yさんが「家中で一番大切な部屋」と真っ先にオーダーしたのが、ご夫妻の愛車2台を納める車庫スペース。
 「最初は、Yさんの言葉のニュアンスが正確に把握できなくて、家の中で最も設計に苦労した場所なんです」と、北浦さん。
 何度も話し合いを重ねた結果、内壁は白くペイントし、床には100ミリ角の白い大理石のタイルを敷き詰めました。また、Yさん自ら磨き上げた愛車をさらに美しく照らすよう、天井にはいくつものスポットライトを取り付ています。
 「家の中で最も広いここは、ある意味、贅沢な空間だと思います。でも、6年以上も温め続けた夢が実現できたのですから、コスト以上の価値があると思います」と、Yさん。
 北浦さんは、車で行動することが多いYさん夫妻のライフスタイルに合わせて、この車庫と居住空間を結ぶ動線にも工夫を凝らしました。車庫の出入り口は、玄関ホールと愛車を眺めるYさんの部屋、寝室のウォークインクローゼットにつながっています。プライベートな玄関を兼ねたクローゼットには、靴の収納棚も備えられ、車から降りてすぐに靴を脱いで、着替えを済ませることができます。こうした車庫からの機能的な動線も、ゆとりある空間づくりを陰からしっかりと支えているのです。

車庫前
石を敷き込んだ車庫前は、「ほかの人には絶対に洗わせない」というYさんが、休日に愛車の手入れをするスペースでもある。

ポルシェ背

ポルシェを眺める

車雑誌

ワイン
愛車をいつでも眺められるよう車庫に隣接してつくられた、Yさんの趣味の部屋。壁一面の収納棚には、「最近、安くておいしいワインを探すのが面白くて」と集めはじめたワインも。ピカピカに磨き上げた愛車を眺めながら、ワインを味わうひとときもまた格別。


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