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リビング空間 シンプル&モダンの 落ち着き 住宅密集地にあっても 刻々と変わる陽射しを楽しむ
■小樽市・Fさん宅 |
仕切りすぎず、見えなくていいところは見せないのがFさんの希望。黒いスチールの家具でなんとなく空間を仕切っている。裏側はキッチン、奥はダイニング。白×黒×赤にステンドグラスの色使いが、お洒落なインテリア。 |
ステンドグラスがもうひと味のスパイス 白い空間にビビッドな赤と黒、それにブルー系のステンドグラス。若々しく、参考にしたくなるほど素敵なインテリアのFさん宅は、夫婦と子どもの3人家族の住まいです。奥さんは、新しいショップがオープンするとすぐにチェックに行くほどのこだわり派で、カフェカーテンやちょっとしたものなら、自らささっとつくってしまうそう。 1階フロアにあるリビングは仕切りすぎずに、キッチン・ダイニングも含めてワンルーム仕立ての空間にしました。設計を担当した建築家の早川陽子さんは、キッチンとの間仕切の家具や階段、手すり部分にFさんの好みのスチールを黒く塗装して使うことを提案。Fさんが選んだ赤いソファがとてもいいアクセントになっている、シンプルでモダンなリビングです。 そして、この空間にもうひと味スパイスをきかせているのが、リビングと地階をつなぐ階段室の、幾何学模様にデザインされたステンドグラスです。 このステンドグラスを通して射し込む陽光はシンプルな室内に華やかさをプラスし、リビングを一層印象深い空間に仕立てています。 |
階段。シンプルな空間に豊かな表情を加えるステンドグラスは早川さんのデザイン。 |
住宅密集地にあっても刻々と変わる陽射しを楽しむ Fさんご夫婦が、希望されたことは次のとおりです。 ●敷地の形状(傾斜地、10メートル×20メートル)を生かした建て方。 ●リビングは吹き抜けで、階段とつなげたい。 ●インテリアはシンプル&モダンでまとめ、オーディオ機器もその一部に組み込みたい。 ●暖房方式、衛生、電気設備は機能・デザインだけでなく、メンテナンスも検討したい。 このご希望に対して、設計に反映したことは、住宅部分は地下1階(RC造)・地上1階(木造)の2層とし、車庫は2台分(鉄骨造)を確保しました。さらに、平面・断面計画では、敷地の長さを室内でも感じ取れるように、見渡しのきくオープンなプランとし、1階の生活の場と地階の個室をつなぐ階段室は敢えて南面に配置。住宅密集地ゆえ、窓からの景観は望めないので、刻々と変化する陽射しを楽しんでもらおうと考えたからです。そのほか、暖房方式はイニシャル・ランニングコスト比較の結果、灯油式温水パネルヒーターを採用しました。 素材のもつ透明感・清潔感を大切に、仕上げる テーマはシンプル&モダン。コンクリート、木、鉄、ガラス、タイル、珪藻土等を使い、それぞれの持つ透明感、清潔感を大切にしました。ニュートラルな空間は自然の光や風と共鳴していることでしょう。 また地階の塗壁は、主にFさんご夫婦が塗られましたが、住まいへの想いはこの頃から実感となっていたように見えました。工程を調整してくれた建設会社の気遣いにも、感謝しています。 住まい手の趣味や想いを空間に満たすこと 日常生活の中で、それぞれの時間を大切に過ごしてほしい。これが、私が依頼者のみなさんに対して願っていることです。 釣りやオーディオが趣味のFさんと、インテリアセンス抜群の奥様は子育て(1歳半)まっ最中。船室のような地階の丸窓、配線もすっきりとしたオーディオ機器、スチールの家具や奥様お手製のカーテンと、ご夫婦の趣味が生きた住まいになったと思います。 吹き抜け部にスチールの手すりの開放的な階段を設けるという案は、一方で、お嬢さんがまだ小さいため危険な面ももっていましたが、その点は波形のポリカーボネイトを取り付けることによって解決。 吹き抜けを彩るステンドグラスは奥様のご両親からのお祝いで、日々、豊かな空間の中で子育てをしてほしいという想いが伝わってきます。
文/早川 陽子
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階段部のポリカーボネイトの乳白色も、予想外にいい味わいを生んだ。 |
赤と黒、そして白。色合いもモダン。 |
地階。丸窓は船室のイメージで。 |
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■建築データ 構造規模/RC造+木造+鉄骨造・2階建て、延床面積/住宅:156.5m2(約47坪)、車庫:36.5m2(約10坪)、 <外部仕上げ>屋根/ガルバリウム鋼板、外壁/ガルバリウム鋼板(大波貼、菱葺)、建具/玄関ドア:アルミ断熱ドア、窓:アルミ&樹脂複合サッシ、 <特徴的な内部仕上げ>床/長尺フローリング、壁/珪藻土塗(一部施主が施工)、天井/ガルバリウム鋼板(小波貼)、ビニールクロス、 <断熱仕様>基礎/スタイロフォーム50mm、床下/グラスウール24kg150mm、壁/地下1階コンクリート部:スタイロフォーム50mm、1階木造部:グラスウール34kgBIB工法、天井/ブローイング18kg250mm、屋根/スタイロフォーム20mm(スノーダクト方式) ■工事期間/平成12年7月〜10月(約4ヵ月) |
前回でご紹介の家はこちらです |