■小樽市・Kさん宅 |
居間の様子。 暖房は補助的なもの。赤いタイル状のものは珪藻土板。 |
リプランの愛読者のKさん。新築相談のハガキが縁で吉田建産さんに新築を依頼されました。そこで提案されたのがサーマ・スラブという「土壌蓄熱」暖房方式。ちょうど本誌上で紹介されたこともあり、理解は出来ていたそうですが、やはり不安。そこで実際に1年間の実績を上げたお宅に冬、訪問して納得できたということです。このサーマ・スラブは、一度温度が上がってしまえばランニングコストが非常に安上がり。しかもオール電化なのに室内に暖房器が必要なくなります。(居間の薪ストーブは補助的な暖房)したがって室内のインテリアの自由度が増します。考えてみるとこのことは北海道の住宅が初めて体験することであるかもしれません。 健康への配慮や自然素材による仕上げを心がける吉田建産さんらしく、室内の仕上げには北米の壁仕上げであるドライウォールを採用し、2階の和室には珪藻土が使用されています。ドアや窓は木製の輸入建材が使われ高級感たっぷり。1階の窓には上げ下げ窓も採用して、窓辺の表情もぐっと豊かになっています。 |
2階の寝室は天井高も高く気持ちのよい空間。 |
しかしなんと言ってもこの家の一番のポイントは、外壁に使われた本煉瓦。軸組木造+壁パネルの本体構造に緊結させて本物の煉瓦を積み上げたのです。吉田建産さんの施工した住宅や別荘などで使われた本煉瓦の深い味わいを見て、外壁に使おうと決めたそうです。住宅レベルで本煉瓦を積み上げるというのはほんのごく少数。赤煉瓦庁舎で北海道人には懐かしい素材で、建ち上がってすぐの建物であるにもかかわらず、すでに重厚な存在感を漂わせています。L字型の配置形態もこの本煉瓦の陰影ある深みをいっそうに引き立てています。この配置で、室内からも自分の家の表情豊かな外壁を見ることが出来ますね。 もちろんこうした仕上げは当然コストアップにはなりますが、住宅建築本体での合理化努力やローコストの追求に熱心なビルダーの場合、建て主の側ではこのように外壁材などの他の部分で自分の思いやこだわりを実現させることも可能になると思います。 |
1階の窓周りの詳細。 北米・ローエン社製のもの。外部は金属で木を被覆して耐候性を高めてある。 |
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外観。 庭を囲むようにL字配置。煉瓦の風合いと形が調和している。屋根は自分の庭側に向いた方向は雪を落とす屋根で、外に向かって落ちる方向は三角屋根だが無落雪の板金仕上げ。 |
1階の廊下の様子。木質が豊かで高級な洋館の雰囲気。壁のコーナーはすべて優美な角丸仕上げ。 | 傾斜地を利用して裏側にはデッキを広く造作。裏はマイカル小樽。 |
2階の和室の様子。建材はいろいろな輸入物を使っていますが、本格的な和室もしつらえ、印象の奥行きを広げた。 |
風呂の様子。 壁には木を使った本格派。 |
台所からデッキに出られる開放的な作りです。 |
廊下の窓の詳細。ローエン社製の窓は枠もセットで出来ているのでデザインに統一感もあります。 | |
■建築データ 構造規模/木造・2階建て 延床面積/129.18平方メートル(約39坪) <外部仕上げ>屋根/ガルバリウム鋼板横葺、片面スノーストッパールーフ、外壁/1階:レンガ積、2階:カナダ製スタッココテ仕上、建具/1階:ローエン、2階:ノルド、木製サッシ <特徴的な内部仕上げ>床/直貼りフロアー、1階:テラコッタタイル、2階:ナラムクフローリング、壁/ドライウォール、和室:珪藻土、天井/ドライウォール <断熱仕様>基礎/断熱型枠63mm+63mm、壁/グラスウール100mm24kg+外断熱25mm、グラスウールボード64kg、屋根/FP板(B3)125mm |
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前回でご紹介の家はこちらです |