ライフラインが断たれた時の暖房と室温低下の実態調査報告
2011.6.25
住宅技術評論家・南雄三
3.調査結果
3-1.停電時の対応
停電して暖房が使えなくなったときにどんな行動をとったのか?
①そのまま暖房せずに過ごした
②代替暖房器具を用いた
・暖房せずに過ごしたものが83%、代替器具を用いたのはわずかに17%だった。
・代替暖房器具は開放型ストーブが7戸、薪ストーブが2戸だった。
3-2.停電時の室温低下に対する対応のコメント
停電時の室温低下にどう対応したのか、生のコメントを以下に紹介する・・
①断熱性能レベルを次世代省エネルギー基準未満、
②次世代省エネルギー基準レベル、
③次世代省エネルギー基準超
の三段階に分けた。
・対応として<暖房せずに過ごした>と<代替暖房器具を用いた>に分けた。
①次世代省エネルギー基準を超える断熱性能の家
<暖房せずに過ごした>
宮城 Q値 1.2 使えなくなった主暖房:エアコン 停電期間:4日間
4日間寒くなく、服を着込む程度で問題なく過ごせました。低くなっても15℃程度。通常は19℃程度
宮城 Q値1.9 電気蓄熱ストーブ 4日間
停電で蓄暖が使えなくなりましたが,初日(11日)は前日の蓄熱により約20℃をキープ,全く問題なし。2日目~4日目もほぼ15℃前後を保ち,普段より一枚多く重ね着する程度で凌げました。
岩手 Q値1.3 電気蓄熱ストーブ 2日間
11日地震直後に停電し、12日の夜8時頃に電気は復旧しました。2日間共に室温は20℃位で
1・2Fどちらも同じような温度でした。外気温は最高で4から5℃位、朝・夕はマイナス5℃位まで下がりましたが、特に他の暖房を必要には感じませんでした。 ちなみに、我が家の家族構成は88歳の父・82歳の母・28歳と27歳の娘と私ども夫婦の6人ですが、ちょっと厚着をしたくらいで寒いとの苦情は出ませんでした。
岩手 Q値不明 エアコン 2日間
初日の夜はパネルヒーターも余熱があり、エコキュートのお湯も使えたが、二日目からは厚着をして過ごした。でも、寒くて大変という感じではなく過ごせました。
岩手 Q値0.93 電気温水式パネルヒーター 1日間
主暖房は電気式温水パネルヒーターで停電の為丸一日使えませんでした。日中天気も良かったので17℃くらいでした。夜も特別寒く無かったです。厚着をしていれば充分過ごせました。
岩手 Q値1.2 電気温水式パネルヒーター 2日間
断熱性能がいいので無暖房でも体感的には寒くなく過ごしました。陽が入れば室内はおそらく18℃以上、朝でも16℃内外程度で、特に何をしなくても寒さで困る事はありませんでした。
岩手 Q値0.94 温水パネル 2日間
厚着をして(2,3枚多く)布団をひきっぱなしにして過ごしました。夜は早めに布団に入って過ごしました。二日目も13℃~15℃はありました。他の温度計では最低で16.9℃でした。
岩手 Q値1.5 温水パネルヒーター 3日間
パネルヒーターですが使えなくなり、厚着をしてしのいだ。10℃は下回りませんでした。
※ 炊事はIHなので使えなくなり、以前購入しておいた卓上コンロでご飯を炊いたりした。
バーベキューが一式あったが、いざという時はこれで暖をとり、煮炊きしようと考えていた。ただ一酸化炭素中毒が怖かった。
岩手 Q値:不明 FFストーブ 6日間
最低8℃くらいにはなりました。カセットガスコンロで室内でお湯を沸かし、18~20℃くらいに温度、湿度ともに上げ、耐えていました。
岩手 Q値1.0 電気蓄熱式ストーブ 2日間
丸二日間停電したが、蓄熱式暖房の為朝晩の最低気温が氷点下であっても普通に過ごせた。室温も普段と同じ21℃。2日目は暖房機に蓄熱はされなかったが、余熱があり寒さは感じなかった。20℃。2日目の夜に通電した為3日目からは通常の生活に戻る。
(施主様に震災の影響を聞いたところ、「台所のIHクッキングヒーターは使用できなかったが、カセットコンロがあるから、そんなに不便は感じなかった。それより、隣近所は毎日、寒い思いをしていたので、うちは暖かくてオール電化で良かった。」とのことでした。
岩手 Q値1.3 電気温水式蓄熱床暖房 2日間
外気温は日中8℃くらい。夜は-5℃くらい。二日間の停電で、朝外気温が-5℃でも家の中は16℃で高断熱・高気密の家は熱が残っており寒くなくありがたいと思いました。
青森 Q値:1.4 温水パネルヒーター 1日間
夕方PM16時頃通電されるまで暖房なしでしたが室温は16℃までしか下がらず他の暖房機に頼らずに過ごせましたが、これ以上停電が続くと他の暖房機にたよるざるを得ません。
ちなみにこの家の普段の暖房温水温度は40℃~36℃位で流しております。其の時の室温は22℃~23℃くらいです。
青森 Q値1.6 電気蓄熱ストーブ 2日間
室温は余熱でしたがあと一日はいけそうでした。IHが使えないのでガスコンロ(ポータブル)で調理しましたが、その熱も暖房に寄与していたと思います。
<代替暖房器具を用いた>
岩手 Q値1.2 温水パネルヒーター+薪(ペレット) 2日間
薪ストーブを主に使用
岩手 Q値1.0 薪(ペレット) 2日間
薪ストーブを使用していたので不安はなかった。発電機を回し、3家族で夕食をとったり工夫した。2~3日のことだったので苦にはならなかった。建物がしっかりしていいて安心だった。①発電機を作動させた ②充電池にしてあったのがよかった ③ガソリンが入手できなかった。薪、プロパン、灯油・・分散型エネルギーは災害に強い
<以下、その3に続く>