高断熱高気密住宅を全国に広げている
NPO新木造住宅技術研究協議会(新住協)事務局は仙台市若林区にあり、
今回の震災で、事務局も被災しました。
しかし、専務理事の会沢さんの住宅は、最近、高断熱高気密住宅に改修し、
今回の震災でも、居住環境も構造も、まったく問題がありませんでした。
その経緯をまとめていただきましたので、掲載いたします。
地震発生後、暖房を連続10日間OFF、
その時高断熱住宅はどうなる!
3月11日14時46分、大地震発生、そして停電。
我が家の暖房は、灯油を熱源とした温水パネル(基礎断熱床下放熱式)暖房。
灯油が熱源とはいうものの、電気がなければ暖房できないしくみになっています。3/11は当然暖房不可、ストーブもないので暖房はしないことにしました。
電気が通じたのは4日目です。
その間、ストーブを持ち込むつもりもなかったのでこの際ということで
暖房の電源を完全OFFにして過ごすことにしました。
3/23現在そのままです。
この間の室温はどうなったでしょうか。
答えは下のグラフの通りです。
真冬の寒気が来た17,18の2日目、
瞬間的に12℃近くになりましたが、概ね15℃〜16℃くらいで
暮らしていたと言えます。
厚めのセーターに下ズボン、それにスリッパ履きでいれば
ストーブ無しでも大丈夫でした。
とにかく、日が照りさえすれば室温は上がり
高断熱がそれをずっと保温するという単純な理屈そのままです。
この住宅の熱性能を記します。
■住宅面積木造2階建て約104㎡
■熱損失係数(Q値)1.47 総熱損失係数Qa 152W/k
■室内取得熱1629W/h 内冬季日射取得熱1150W/h
■自然温度差10.7℃
■温度測定コーナー札幌おんどとりTR-72
上の数字(理屈の上ですが)からこの住宅のすぐれた点をいくつか。
①自然温度差(日射熱と室内に発生する熱だけで室温何℃に相当するか)が
10.7℃であること。
つまり、外気温よりいつも10.7℃高い(昼夜平均)ことを意味します。
②日射熱を1150W/h採れること。Qaが152W/kですから、
日射熱だけで約7℃(昼夜平均)になる理屈です。
断熱ブラインドが取得熱を保温する役割を実によく機能しています。
因みにこの家はQ1.0(キューワン)住宅です。
年間の暖房エネルギーは約200㍑(@80円→16000円)で、実測も同程度。
仙台くらいの日射量があると、
省エネ性能を熱損失係数だけで判断するのは安直で、
日射取得熱との兼ね合いが大切です。
暖房無しのこういう事態ではどうなるか、
自然温度差が一つの目安になると言えるのではないでしょうか。
*外気温測定は測定に失敗しました。(11日前に容量オーバーFULL状態)
23日以降で測定中。