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特集 <オホーツクで建てるなら、ココ! 2017>(株)丹羽設計企画

薪ストーブを
正しく楽しむ暮らし

設計・施工/(株)丹羽設計企画

薪ストーブを楽しむ暮らし
 最近、自然エネルギーを利用した暖房として注目されている薪ストーブ。どんなところに気をつけてストーブを選べば良いのか、心構えは?などを、薪ストーブを採用した住宅の設計に豊富な実績のある丹羽設計企画の丹羽社長にうかがいました。薪ストーブの正しい選択と設置で楽しい暮らしを実現する方法を紹介していただきます。

楽しむには正しい設置と機種選びが大切
 薪ストーブはバイオマスを利用した暖房器具として、エコロジカルで省エネルギーに暮らしたい方々を中心に広まっています。その理由として、地場で育った木を薪として燃料にできること、住宅を建てたときの端材や廃材も熱エネルギーとして利用できることなどが挙げられます。
 また、間伐材を薪として利用することで森林の再生を助け、地場の産業や自然サイクルの助けになることも注目されているポイントだと思います。
 最近の高気密住宅への薪ストーブの設置にはしっかりした換気計画が重要で、これは専門の経験豊富な薪ストーブショップでないとなかなかできない計算や技術がそこにはあることも解ってほしいです。
 どのような焚き方が良いかは、住宅の性能やメイン暖房なのか補助暖房なのかによって違います。新築の住宅だとエアコンなどの自動で温度制御できる暖房との併用がお勧めで、薪を焚くとエアコンが休み、薪ストーブの熱がなくなってくると、自動でエアコンが働くようなハイブリッド暖房を行います。メイン暖房で薪を焚くお家ももちろんアリですが、薪づくりは結構大変な仕事ですし、薪を備蓄するスペースもかなり必要になる事もポイントとなります。

ライフスタイルや住宅にあわせて薪ストーブを選ぶ
 朝は起床後にほとんど時間を置かず留守になるのか、日中も家で過ごす時間があるのか、その間、どれくらい薪ストーブの面倒を見られるのか手を掛けられないのか。夜はどんな過ごし方なのかにより、使用する薪の大きさやストーブの大きさ、材質なども異なります。
 最近では小型のストーブやスチール製のストーブの採用が相当増えてきています。温まりやすく冷めやすいスチール製のストーブも、最近の住宅にはマッチします。
 住宅の高性能化が起因で、住宅の性能やサイズに合わない高出力なストーブだとオーバーヒートは勿論、ストーブの故障や煙突つまりの原因になります。車選びにも似ていますが、ストーブもデザイン/性能/パワーが選ぶポイントです。ただ、大型の自動車は乗り心地がいいですが、大型のストーブは空間とのバランスで居心地がよくありません。ここも大切なポイントです。
 若い共働き夫婦のNさんのお宅は南向きの大開口から陽射しがたっぷりと入るので、オーバーヒートを抑えるためにノルウェー製の超小型鋳物ストーブを提案、一階がアパートで下から冷やされることもないこの住宅だと肌寒い朝や時間のある夜、休みの日に薪ストーブを楽しみたい要望を考慮すると、とにかく小型で、ジワーっと熱を感じるこのストーブにしたのです。夜も寝る前の数時間だけ火を点けるということなので、その熱を無駄なく使えるよう煙突を寝室側に通し、独立した部屋も多少は暖められるという工夫をしました。家の中に火のある暮らしを楽しんでいる若い二人は、これから冬を迎えるのを楽しみにしています。
 農家を営むTさんご夫婦は住まいの一部にカフェスペースを設け、2017年の春にオープン予定で準備中です。住まいのほうはセントラル暖房ですが、カフェには鋳物製の薪ストーブを導入しました。鋳物製のストーブをおすすめしたのは、広い空間に置いたときに様になるデザイン性と、朝から夜までストーブに手が掛けられることから、ストーブ全体から輻射熱を長くじんわりと放出して室内を暖められるからです。晴れた日には羅臼岳など知床連峰の山々と斜里岳、藻琴山までが窓から一望できる雄大なロケーションには、鋳物のどっしりとした薪ストーブがよく似合います。最初は「わざわざ薪ストーブなんて…」と言っていたご主人も、今では夕食後はストーブの前で寛いでいるとか。

子どもと一緒に薪ストーブを楽しむ
 子どもがいる家族やこれからお子さんが生まれる家など、小さな子どもと一緒に薪ストーブを楽しむのは無理なのでは?と考えている方もいるのではないでしょうか。僕の経験からすると、本当に小さな頃から薪ストーブが近くにある暮らしをしていると、大人が注意喚起をすることはもちろんですが、本能的に「火は熱い、危ない」ということを学んでいるような気がします。自然と必要以上に火の近くには近寄らないことが多いようです。もちろん、小さなうちは事故防止のためにストーブガードを設けて、直接ストーブに触れることがないようにすることをすすめますし、薪ストーブにあわせたデザイン性の高いストーブガードもあります。
 小さなお子さんのいるKさん一家は、冬の間はストーブガードで囲って薪ストーブを使用しています。長い薪ストーブ生活の中のほんの数年、一手間をかけても家族と火のある暮らしを楽しみたいという思いからです。古くからある住宅街に隣接する新興住宅地に家を建てたKさんは、薪ストーブのおかげで思わぬご近所付き合いが生まれました。両隣に暮らす奥さんの一方は「薪ストーブの燃料にして」といらなくなった木材をくれ、もう一方は「家庭菜園の土作りに灰をわけて」と、それぞれのお宅と良い繋がりができたという、薪ストーブが取り持つ良いエピソードです。

アフターメンテナンスも重要です
 薪ストーブは価格も高いですが、大切にきちんとメンテナンスを行えば一生使えるものです。ですから、きちんとした製品を暮らしにあわせて選び、ちゃんとメンテナンスをすることがとても重要なのです。「メンテナンスって難しいんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、そこは知識のあるプロに任せてください。
 年に一度の煙突掃除をするだけで、プロにはどんな樹種の薪をメインに焚いていたか、どんな使い方をしていたかがわかります。それを元に、もっと効率よく薪を保たせる焚き方や薪の大きさ、日常のお手入れなどもあわせてアドバイスできるのです。
 薪ストーブは決して売り放し、付け放しができるものではありません。設置したからにはきちんとメンテナンスを行い、正しい使い方をオーナーに伝えて習得のアドバイスをして、とずっと繋がっていくものなのです。ですから、薪ストーブのある暮らしをしてみたい…と考えたときには、長くつきあえる信頼のおける施工店を探すことが第一歩だと思います。


設計・施工/(株)丹羽設計企画
TEL 0152-23-2760
斜里郡斜里町字豊倉55−61
http://www.scene21.jp/

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Replan vol.115 特集 <オホーツクで建てるなら、ココ! 2017>

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