住宅雑誌Replan（リプラン）

　美しいポプラ並木通り。綿毛が舞う6月の光景はこのエリアの初夏の風物詩になっています。オーナーのNさんは当初、利便性を重視して地下鉄徒歩圏内の土地を探していましたが、奥さんはこの風景を見て「前に住んでいた富良野みたいに自然がいっぱい。ここで子育てしたい」と気に入り、「仮に通勤時間が長くなっても、きっと幸せになれる」と確信して暮らすことを決意。巡り合ったのは、周辺で1つだけ残っていた変形の宅地でした。リアスタイルならどのような提案をしてくれるのか、楽しみだったと言います。
　設計を託されたリアスタイルは、この特殊な土地を次のように読み解きました。北東の角を基点に敷地を見渡すと並木に向かって翼を広げたような形であり、この特徴を最大限に生かせば並木を眺める特等席の家になる。
　完成したのは、玄関から続く階段を上り切ると眺望がドラマチックに広がる中2階フロアを主舞台にした、土地と相似の変形の家。2階をワンルーム空間とし、ダイニング・キッチンを中心にリビングや洋室を配置。各スペースのフロアレベルに高低差をつけて風景の見え方に変化をつけました。ダイニング・キッチンからは樹林の彩りを楽しむ開放的な眺望、畳敷きのリビングからはあえて風景の一部を切り取った眺めなど、家族はそれぞれ気に入った風景を眺めながら時間が過ごせるようになっています。
　「私たちの思いを想像以上に表現してくれました。個性的な形の土地ももっと好きになりました。この家は、この土地だからこそできた、と心の底から感じています」と大満足のご夫妻です。