小さな家で広く暮らす
熟年世代の建て替え平屋
■札幌市西区・Hさん宅
■設計・施工/北海道工房(株)
TEL:011-882-1200
HP:http://www.do-ko-bo.co.jp/
今回の事例は、リプラン北海道 Vol.90に掲載しております。
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夫婦2人の終の住処。本当に必要な広さは?
マイホームも築20年~30年が経ち老朽化。かつては子どもたちで賑やかだった家も、数年後には定年を迎える熟年夫婦2人暮らしに。そうなった時、果たして広い2階建ての家は必要なのでしょうか? そんな疑問を抱いて、建て替えの相談に訪れる人が増えていると語るのは、北海道工房の廣瀬誠社長です。「夫婦2人だけになった時に大きな家はいらない、と皆さんおっしゃいます。そうなると、今の家を使いやすいようにリフォームするか建て替えにするかという選択になる。そこで、2人で暮らすのに必要な家ってどんな家?と突き詰めていくと、平屋に建て替えることを選択する人が増えているんです」。今回、廣瀬さんが案内してくれたのは、そんな建て替え事例の1つ。熟年世代のご夫妻が、延べ床面積40坪の2階建ての家を25坪の平屋に建て替えました。
「25坪という面積を聞くと、狭いと感じると思います。しかし、無駄に広い家は掃除やメンテナンスも大変だし、光熱費もかかる。まずは広い家がなぜ必要なのか?を考えてみて、自分たちに本当に必要な最小面積から家を考えるという発想の転換が大切です」。
本当にそんなに広いリビングはいるのだろうか? 2階の個室はいるのだろうか? 「あったほうがいい」ではなく「なくてはならない」空間は何かを考えていくこと。それが、シンプルで豊かな暮らしを送るための鍵のようです。
ソトとのつながりが、開放感を生みだす
25坪の平屋をのぞくと、間取りで言えば1LDK+S。リビング、キッチン、ダイニング、6畳の寝室。それにLDKに隣接した3.5畳の和室と水まわりです。しかし狭さをまったく感じさせないのは、敷地と空間の使い方にあるのでしょう。高台にあり入口から奥に向かって傾斜のある土地。奥は崖になっています。その土地特性を生かして見晴らしのよい崖側にLDKを配置し、床から天井まで全面窓に。竹を敷いたテラスはもちろん、市街地から石狩湾まで望むパノラマの景色までもアウトリビングとして取り込み、驚きの開放感です。全面窓に面したリビングの対面の壁に目を向ければ、そこには低い窓の向こうに白砂を敷き詰めた枯山水風の中庭を望みます。あえて室内ではなく室外空間としてしつらえた箱庭は、広がりをもたらすパノラマ窓とは対極の「静」を感じさせる落ち着きの空間。異なるふたつの顔を持つリビングにはホームシアターも完備で、ご夫妻は朝から夜まで、生活のほとんどをここで過ごしています。
さらにこの住宅で特徴的なのは、北国特有の雪の問題をクリアしている点。屋根からの落雪がないのはもちろんのこと、歩道に残される雪の固まりもロードヒーティングで処理が可能です。夏場も車庫からアプローチ、玄関まで屋根が掛かり、雨にあたることもありません。
「今までは敷地に恵まれていたり、予算に余裕があるから平屋にするというイメージが多かった。しかし、これからは、最小面積の中で効率よく豊かな暮らしをするために『平屋を選ぶ』時代です」。そう語る廣瀬さんが提案するのは、コンパクトでありながら機能的で、熟年世代のゆとりある暮らしを実現する新時代の平屋だと言えるでしょう。
今回の事例は、リプラン北海道 Vol.90に掲載しております。
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