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*新築事例:一押し住宅

イチ押し住宅
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北側外観
 
ロケーションの魅力を、設計・施工の技術で生かす
高低差10メートル以上の敷地に挑む

■設計監理/
     フーム空間計画工房
     一級建築士事務所
     宮島 豊
     Eメール:humu@poplar.ocn.ne.jp
■施  工/(株)三五工務店
     TEL 0120-135-735
     HP:http://www.kk35.com/

撮影/安達 治 ◇文/宮島 豊





1階リビングから庭を見る。


ダイニングからキッチンの見通し。
 桂さん夫妻が「購入予定の土地を見てほしい」と訪ねてこられたのが2年前。良い返事ができず、時間をかけて探すことを勧めた。1年後、不動産を扱う知人から連絡が入る。「面白い土地がある」。
 確かに100坪の面白い土地ではあるし、以前の土地より安い。しかし、前面道路から敷地の反対側の境界まで10メートル以上下りの斜面で、排水の勾配も確保できそうにない(方法はあるが、全くつまらないプランになってしまう)。ロケーションの誘惑につられ、土地代の差額350万で土工事、基礎工事、排水工事のアップ分を吸収できるだろうと購入を勧めてしまい、後で責任の重さを痛感する。
 早速、基本計画スタート。この高低差のある土地は食材にたとえるとフグのようなもので、技術さえあれば最高の材料である。道路面から3メートル下がったところに中庭を作り、リビング、浴室、階段ホールで囲む。最もコストアップになる基礎工事のおかげで半地下空間ができ、そこからまた遠景を見下ろすことができる。周辺環境が変わっても、敷地内からの景観やプライバシーが確保できる。次々具体的なイメージが浮かび、構想がまとまった。ご夫妻も期待してくださった。
 問題は施工技術である。一般住宅とは思えない土木コンクリート工事、それに伴う防水、断熱、結露対策、排水計画。それだけではない。断熱気密性能、計画換気、室内空気汚染に関して、我が事務所は公的なものより遙かに厳しい性能を求めている。
 私の知る限り、この構想を技術的に実現できる工務店名が他に浮かばなかった。実施設計と見積りが同時進行。工法や工程の合理化を検討し、その一つ一つが見積りに反映される。最終的に設計料250万、工事費2600万(消費税別)でまとまった。吹き抜けを算入せずに48坪で、しかもこの地形。厳しい性能保証のうえ、仕上げ造作、浴室工事の一切が職人の手作業であるから大変厳しい数字である。


2階から見おろした1階リビング。


玄関

リビングからダイニングを見る。

地階

浴室から庭を見る。
 難工事であるからこそ、細心の注意をもって進められた。コンクリートプラントへの配合比の細かな指示。断熱欠損の見落としをなくす注意。ここ数年、問題になりつつある夏場におけるコンクリート部分の結露対策。また、人体や環境に悪影響を極力与えない材料選び。暖房システムや計画換気の改良。仕上げの段階に入ってからは桂さん夫妻も巻き込んでの共同作業。トラックに乗り、工場まで敷き煉瓦を探しに行き、B級品を破格値で分けてもらい、みんなで中庭に敷き詰めた。左官は監督さん自ら鏝を握り、何度も藁の調合や鏝跡を試した。市販のペーパーホルダーが気に入らず、木と真鍮で組み立てた。照明のシェードは手吹きガラスで作ってもらい、ドアノブの握り玉だけ輸入雑貨店から購入し市販のものに取り付けた。みんなが熱中できた濃い時間だったと思う。打ち上げの席で監督さんが「引き渡したくないな」と言った。きっと手のかかった娘だったのだろう。とても優しい人のところに嫁いだのだから、幸せになることだろう。


ダイニングからキッチンの見通し。

建築データ
構造規模/木造・2階建て(地下RC)、延床面積/157.32m2(約47坪)、
<外部仕上げ>屋根/アスファルトルーフィング(22K)の上、長尺ガルバリウム鋼板横葺+雪止取付、外壁/青木バラ板張+オリンピックステイン(2回塗)、延焼部分:ダイライト下地の上ガルバリウムスパンドール張、建具/窓:DOMUSウィンドウ(木製サッシ)
<特徴的な内部仕上げ>床/パインフローリング張、壁/ドライウォールコンパウンド+藁練り混み、天井/構造用合板・梁現し、
<断熱仕様>基礎/押出ポリスチレン板(B3)75mm、壁/グラスウール100mm、24kg極細繊維、屋根/グラスウール100mm+押出ポリエスチレン板(B3)75mm

工事期間/平成13年3月〜7月(約4ヵ月)

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