アプローチよりエントランスを見る。 ■札幌市白石区・Iさん宅 ■家族構成/4人 ■設 計/有限会社中井仁実建築研究所 電話:011(562)5005 ■施 工/青葉建設株式会社 電話:011(746)8822 ■写真撮影/酒井広司 (グレイトーンフォトグラフス) |
ホール。 吹き抜け上部には柔らかな光が差し込む長天窓。上部にかかるブリッジはガラス製で床面は合わせガラスに滑り防止のタペストリー加工、そして奥の黒い扉は6ミリ厚の黒皮鉄板、壁は左官仕上げ。 |
文/中井仁実+赤坂真一郎 真っ白な左官の壁に、天窓から差し込む陽がつくりだす光と影のリズム。 居間に入ったとたん目の前に広がる緑いっぱいの庭。扉を開くたび、歩く方向を変えるたびに新しい場面が展開していく・・・。 そんな、いくつもの物語を内包した家。それが、この「長天窓のある家」です。 |
南側外観。コンクリート打ち放し+札幌軟石の外壁。 |
この家は、大きな敷地の南側にJRが走る、古い住宅の建替えです。クライアントは列車の騒音と振動に悩まされていましたので、建物の構造は鉄筋コンクリート、開口部はビル用の断熱サッシュを使用し、南側には既存の樹木を移植。更にコンクリートの塀によって庭を取り囲み、防音効果を高めています。樹木や塀による防音効果が期待できない2階部分は、線路側に対する開口を最小限に抑え、それに代わる大きな開口をコートに向けて開放し、二面採光、通風を確保しています。
また外壁にはコンクリートの打ち放しと、音を吸収しやすい多孔質の札幌軟石を併用。建替え前の庭にも使用されていたこの石は、場の記憶としての意味合いも持ちつつ、建物の表情をより個性的なものにしています。 一方、長天窓のある吹き抜けを介して北側に配置された和室や浴室には、南側の大きな庭とは対照的な、落ち着いた小さな庭とバスコートが用意されています。お風呂には、かなりのこだわりを持っていたご主人も、このコートには御満悦の様子です。 緩やかな階段がおかれた吹き抜け空間に、天窓から差し込む柔らかな光。緑の芝に落ちる木々の影。木漏れ日。そして雪見障子から見る、静かに降り積む雪。 それぞれの場所で様々な時間が流れ、そして季節を感じ取ることのできる家。この、時の流れと共に、建物が周囲と対話し、とけ込み、そして成長していくことを、我々は願い見守り続けていきたいと思います。 |
洗面室〜浴室。右側外部がバスコート。 |
2階主寝室の様子。 |
階段踊り場より見返す。 |
和室の様子。庭方向には雪見障子。 |
冬の外観。 食堂から居間を見返す。正面壁はコンクリート打ち放しの仕上げに。 |
居間〜食堂の様子。 |
■配置図 |
■東立面図 ■建築データ 構造規模/ 鉄筋コンクリート造・2階建て、 延床面積/276平方メートル(約83坪)、 <外部仕上げ>屋根/アスファルト防水、外壁/コンクリート打放し+札幌軟石、建具/断熱アルミサッシュ、<特徴的な内部仕上げ>床/フローリング、壁・天井/左官仕上、<断熱仕様>基礎・床下/FP板打込み、壁・天井・屋根/現場発泡ウレタン吹付 ■工事期間/平成10年6月〜12月(約7か月) |
■1F |
■2F |
居間。大きな開口部を通して季節の移ろいを感じ取れる。 |
ホール空間にアクセント。 黒皮鉄板の素地仕上げ。 |
敷地南西より見る初夏の外観。 |
■アクソメ |
前回でご紹介の家はこちらです |