JIA福島、復興支援会議ルポ〜小室雅伸氏より_3

2 三春町での木造仮設住宅  

JIA福島地域会が設計図を作り福島県建設業協会の工務店が分担して建設にあたってる。 この住宅の最も大きな点は基礎を木杭ではなく土間コンベタ基礎にしたこと。これは小室が北海道での実績から基礎断熱にしてコンクリートの熱容量を住環境に生かし、寒さに最も影響ある床周りの隙間風防止・床面温度確保に圧倒的な性能を発揮し、そして長期化居住を見越して木杭の劣化によるガタツキを防ぐ為にと、提案したもの。
現場を見ると、JIAの提案図に建設業協会のアイデアが加えられている。
当初、入手可能なEPS60ミリ厚の設計だったが、この通りXPS3種 30ミリで施工になった。外張り断熱である。
そして、南側の窓の一つがテラス窓になっている。これで、向かいの住戸とのコミュニケーションが増大する。
もうひとつ、住戸間の音のプライバシー確保の為に、60センチの空間を設けたこと、すなわち屋根は連続
しているが完全に1戸建てになっている。これは凄い。作り手の愛!!私が住むなら、という気概なのだ。
断熱材にそれぞれ外装材が張られるので実際の隙間は35㎝くらいか・・・小さな子供なら通り抜けられるかな。この隙間から向こうが見える・・・それだけでもとてつもない価値が生まれると思う。


軒の出は90㎝ 風除室付き  住戸間の隙間  ペアガラステラス窓 内壁は杉板30ミリ

一方で、“想定外”もあった。
ベタ基礎を熱容量に生かすことが理解されなかったようで、通常のように床組みに断熱材が敷かれていて、外張り断熱材は土中まで到達させて基礎断熱とすることが理解されてなかった。
もうひとつ、グラスウールによる天井断熱が難しそう、ということ。そして折版屋根の標準通気面戸部材のスリットが極めて少なく、夏場の熱気排出に難があり、冬場は断熱シートが圧着されているとはいえ通気不足により折版面での結露発生の危惧があること。
 翌日、JIAの三瓶さんが改善策の打ち合わせを早速された。

その1 その2 その4
 

カテゴリー: お知らせ, ニュース, 再生への動き   パーマリンク